DL♥ロマンティックに抱きしめて。
―…でも。
…でもね。
私は無意識にポケットに潜めていたクマを握りしめていた。
「…くみちゃんってさぁ~、たまぁに今みたいにボーっと考え事してるよね。」
「え?!」
器具を洗い、指定された滅菌する機械へそれを移動させてる時。
その言葉に慌てて声の主を見ると、椅子に腰掛け恐ろしく長い足を組んでる桐谷先生。
「俺が気がつかないとでも思った?」
ペンを片手にグルグル回しながら、クスクス笑う先生は怒っているのか、それとも楽しんでいるのか分からない表情で。
「い…いえっ!す…すみません…。」
急いで持っていた器具を戻し、先生の方へ向けて背を伸ばす。
生憎、ペアであるふぅちゃんは他の仕事を任せられていて、この滅菌室にいるのは目の前の桐谷先生と私だけ。