素敵彼氏の裏の顔【番外編】
喧嘩でも始まるのではないか。
そんな不穏の空気の中、
「やめたやめた!!」
それを打ち消したのは、他でもない淳ちゃんだった。
淳ちゃん、たまには空気も読めるじゃん。
何だかほっとするあたし。
そんなあたしの気持ちを代弁するかの如く、淳ちゃんは再び口を開いた。
「橘、美優が酷く怯えてるぜ?
お前も美優の前で、みっともねぇヤンキー姿見せたくねぇだろ?」
その言葉にはっとしたようで、バツが悪そうにあたしを見る隼人。
その瞳は、いつものように穏やかだ。
「美優、ごめん……」
急にあたしの好きな、真面目大学生に戻る隼人。
そのギャップに驚きを隠せない。
あたしの後ろで淳ちゃんがプッとわざとらしく吹き出した。