素敵彼氏の裏の顔【番外編】
喧嘩
ー淳sideー
やべぇ。
やべぇものを見てしまった。
俺と橘は親友で、美優とは兄妹ほどの仲。
それでも、踏み入ってはいけない領域っつーものもある。
俺の心臓はバクバク音を立てていた。
橘は無言で俺を連れてマンションを出た。
俺は、黙ってその後に続いた。
ベッドの中の橘は、見たこともないような顔をしていた。
だけど、今の橘は、久しぶりに馴染みのある顔をしている。
……マジでブチ切れている。
橘が俺を呼び出したのは、美優に見られないためだろう。
美優のいないところで、神木へと変貌を遂げるのだ。
夏だというのに、俺は震えていた。
橘は俺に危害を加えないと分かっていても、恐ろしかった。
マジで切れたあいつには、俺は歯が立たねぇ。