素敵彼氏の裏の顔【番外編】
こつ……
こつ……
その足音が響き、その顔が徐々に見える。
「俺たちを知らねぇか?
……もう、二年も経つからな」
そう言って、オレンジは不敵に笑った。
「俺は、城内」
え……?
「こいつは、橘」
城内……。
俺はその名を知っている。
あの時はまだ中学生だったけど、この街の不良はみんな、彼を恐れ、憧れていた。
北高のカリスマ。
向かうところ、敵なし。
だけど、橘ってのは……
「じっ……城内!?」
先輩たちは明らかに動揺していた。
あの、北高の王者、城内がいるなんて。
だけど、先輩たちも諦めない。
相手は二人。
こっちは十人。
いくら相手が城内でも負けるはずがないと思っているのだろう。
先輩たちは、
「橘からやっつけろ!」
無名の橘に狙いを定めた。