素敵彼氏の裏の顔【番外編】
「俺、もう上がるね」
余韻に浸っているあたしの前で、隼人が小声で言った。
隼人ラブの二人組の視線もあってか、あたしに気を使ってくれているようだった。
「そこの二人も出来上がってるみたいだし」
その言葉で初めて気がついた。
隣の楓は淳ちゃんにターゲットを絞ったらしく、あたしに背を向けて淳ちゃんを眺めていた。
淳ちゃんもまんざらではなく、面白そうに楓と話している。
楓、あんなに淳ちゃんを怖がっていたのに。
その適応能力には舌を巻くばかりだ。
おまけに
「ねぇ、淳?」
すでに呼び捨てだ。
「淳。今日あたし、帰りたくな、い、な」
「もちろん。帰さねぇよ」
あたしは隼人と顔を見合わせて苦笑いしていた。