素敵彼氏の裏の顔【番外編】
事態は完全にヤバい方向へ向かっていた。
隼人は完全に神木モードにはまってしまって、抜け出せないように見えた。
あの頃のように憎悪に顔を歪め、全身から怒りを発している。
敵討ちのつもりが、乱闘になりそうだった。
だが……
「今日は邪魔が入ったから許してやる」
隼人は静かにそう吐き捨てた。
そして、凍えるような視線で淳ちゃんを睨む。
淳ちゃんは思わずビクッと飛び上がる。
「だけど……次翼に手ェだしたら……」
後輩がひいっとみっともない悲鳴を上げた。
「東京湾に沈めてやる」
それで十分だった。
後輩は目の端から涙を流しながら、雑居ビルの階段を駆け上がる。
そこまで隼人の存在が恐ろしいのだろう。