素敵彼氏の裏の顔【番外編】
隼人は深追いせず、ため息をつく。
そして、呆れたように淳ちゃんを見た。
「マジで邪魔が入ると思わなかった」
その声はいつもの穏やかな隼人だが、少しだけ棘がある。
だけど、その落ち着いた声を聞いて、なんだか安心したあたしがいた。
一方、淳ちゃんは青ざめたまま隼人を見ている。
それほどまでに怯えているのだろうか。
その口がゆっくり動き、掠れた声が言葉を紡ぐ。
「わ……わざとやってんのか……」
そして、心底ホッとしたような顔をした。
「マジで心臓に悪い。
お前のアホ面見るだけで、死にそうに気分悪い」
やっといつもの調子を取り戻しはじめた淳ちゃん。
ヤンキー姿の隼人に掴みかかる。
それでも、隼人は何もせず、あきれたように言葉を発した。
「もう二度としない」
その言葉に何だかホッとする。
「俺、やっぱりこういうキャラじゃないや」
「よ……よく言えるな、神木のくせに!!!」
淳ちゃんの絶叫が響いていた。