素敵彼氏の裏の顔【番外編】
だが、追い詰められたネズミは反撃をする。
「て……てめぇ……」
赤毛はまるで牙を剥くように歯を食いしばり、俺を睨む。
そして繰り出された拳は、俺の左頬をかすめた。
なかなかのパンチだ。
だが、その程度では相手にもならねぇ。
俺は軽く赤毛の腹を蹴飛ばした。
赤毛もゴミのように宙を舞って、橘の横に倒れこんだ。
「いいか、てめぇら。
二度と俺の前に現れんじゃねぇ」
俺はセリフを吐き捨て、二人が伸びる芝生を後にした。
あぁ、胸くそ悪い。
マジであいつらを破滅させてやりてぇ。
そう思うが、ふと思いとどまる。
あれ以上乱暴したら、玲が悲しむだろうな。
玲の悲しむ顔なんて見たくねぇ。