素敵彼氏の裏の顔【番外編】
「悪ィ」
慌てて足を上げる。
黒色のタオルは、すっかり砂に塗れて茶色になっていた。
そんな汚れたタオルを、目に涙を浮かべて拾う女。
その惨めな姿が俺の弱い心を打つ。
俺は女からタオルをひっつかみ、こう言っていた。
「悪かった。
……悪かったから、洗って返す」
何を言ってんだ、俺。
所詮タオル。
所詮、知らねぇ女。
……善人ぶってんじゃねぇよ。
「大丈夫です!!」
俺からタオルを奪おうとする女を振り払い、女を睨む。
女は俺を見て、さらに涙を浮かべて震えていた。