花火
スポンジに洗剤をつけたところで
鍵を閉めたお店の玄関を誰かが叩く。


誰だろ…。
お客さんかな??


もう照明も落として
のれんもしまってあるのに
常連さんが多いこのお店では
「1杯だけ飲ませて」と
入ってくるお客さんも珍しくはない。



あたしは玄関の鍵を開け
扉を開く。


「藤山さんが、花火しないかって」

開いた扉の外には
さっきまでお店にいたお客さんの姿。


「するー!!」

「でも片付け大丈夫??」

「明日休みだし、大丈夫◎ちょっと待って??裏から出る」





花火
大好き。

嬉しい。


それに
こんな時間に外に遊びに行くなんて
もうずっと昔の
子供の頃みたいにワクワクする。



予期せぬ花火の誘いに胸を踊らせながら
山のような洗い物を置いてお店を出た。
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