ラブ♡スリップ
ポコポコと何かが煮える音がする。
クックックッと笑う声がする。
ゆっくりと目を開けると、
そこはとても高い塔のうえだった。
ビューっと風が突き抜ける。
力を抜いたら落ちてしまいそうだ。
「あなたは…っ」
わたしは近づいてくる老婆をただ拒むことしかできない。
気がつけばギリギリのところまで来ていて。
あと少し後ろへ下がればしたへ落ちるだけだ。
「白雪姫ーっ!!」
下から叫び声が聞こえる。
「飛び降りてもかまいません!
下でクッションを用意しております!!」
「そうはさせないよ?」
ぎゅっとわたしの首を掴む老婆。
わたしをとてもにくそうに見てくる。
「あんたはどうやったら死ぬんだい?」
「ぐっ…ぅ」
「どんなことをしても死なないあんたは、
わたしが直接手を下さないとならないのかね」
「かはっ……」
「少しずつ、薄らいできただろう?」
まだ、死にたくない!
まだ、生きたい!
日本に帰るの!
わたしは、わたしは、
「れっ……んと…っ」
まだ、やることがあるのに!