俺の姉(+従姉)たちが個性的すぎる件について

***

休み時間。青磁の席近くでお喋りしてると

「久保ー。お呼び出しだよー」

ドア付近の席の女子から呼ばれた。

「りょーかーい」

んじゃな、と話途中の青磁に笑いかけてからドアに向かった。

「はい、久保です」

ドアの前に立ってたのは、内気そうなツインテールの女の子。

ギャルっぽい子じゃなくてよかった。たまに逆ギレされるから。

「…どこか移動する?」

「えぇっと、すぐ済むのでいいです…」

「そう?」

待つこと数秒。

少しモジモジしていたその子は、後ろに回していた手を前に出した。

下を向いたまま、両手で俺の目の前に差し出されたのは、白い封筒にファンシーな柄が描かれた手紙。
ご丁寧に『久保くんへ』と、女の子らしい小さく丸まった字で書いてあった。

これは…アレだな、うん。

「好きです!読んでください…!」

緊張で声が少し震えてる。

教室のドアの近くなもんだから、野次馬目的のクラスメートの男子や、悪気ない同級生からの視線が突き刺さる。

取り敢えず、野次馬野郎どもには睨んで去るように伝えた。

「…手紙、ありがとう」

女の子の手から手紙を受けとる。

期待に女の子の顔が輝いた、と同時に野次馬たちの顔も輝いた。

「でも、君の気持ちには答えてあげられないんだ。それでもいい?」

女の子は唇を少し噛んで

「わかりました…」

小さく言った。
と同時に野次馬たちが一斉に落胆する。

…野次馬がものっすごくウザイんだが。

「手紙はちゃんと読ませてもらうから。ありがとう」

最後の言葉に、少しだけ笑顔になって女の子は立ち去った。

「おい、久保!」

「一瞬オーケーしたかと思ったじゃねーか」

「ばっかやろう、他人の告白現場見てんじゃねーよ。さっさと散れ!」

「わぁ!久保くん、酷いわ、私たちのことむげにして!」

「今だけ女言葉使うの止めろ!キモい!!」

ひっでぇ、といいながら男子共は散らばった。

やれやれ。ため息をつきながら青磁の元へ戻る。

「ただいまー」

「…かえり。今回の子は随分大人しかったな」

「まぁ暴れられるよりいいだろ」

前にギャルっぽい子を断ったとき、逆ギレされた上に軽く暴れられ、ちょっとした騒動になったことがあった。

『逆ギレ女子の暴行事件』と、学年では結構有名らしい…というのが青磁からの情報。

俺の腕には痣が残り、それから、派手な子が告白してきた場合は、より丁寧に相手をするようになった。

「それ以前に、お前の断り方が親身すぎる。それがモテる原因の一つなんだよ」

「そうか?でも女子、泣かせたり怒らせたりしたら面倒じゃん。白い目で見られるのは俺らだし。
ある程度丁寧に応対しないと」

「…手の施しようがないな」

「何の?」

「お前の」

呆れ顔の青磁に
よくわかんねーな、としか思えなかった。
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