俺の姉(+従姉)たちが個性的すぎる件について
***
そして、夕食時。
「あんのクソ課長、くたばればいいのに!!」
「千寿ちゃん、口が悪いよー」
「ふん、口の悪さなんて、この際どーでもいいわっ!
あー!!言われっぱなしって、こっちの気が済まないっつーの!」
「今日は一段と荒れてるな、千寿」
会社での愚痴を吐き散らす千寿姉と、相手をする上の姉二人。
俺と雨月姉は、さっさと食べ終えて、食後のお茶をすすりながら、テレビを見ているのだが、
音が聞こえないほど、千寿の声がデカイ。
千寿姉、実はアルコールが入ると、ちょっとめんどくさくなる。
「私に彼氏いないからって、残業押しつけんじゃない!!」
「それは災難だね」
いつもの『強引さ』に加えて『泣く』がプラスされるのだ。
そして、いつものペースからして、そろそろ…
泣きが来る頃だ。
「何で、時雨はモテんのにあたしには彼氏いないのよー!!」
あ、やばい。そろそろ行かないと。
この様子だと、今日は俺が絡まれる…!!
ガタッ
「「…ごちそうさま」」
面倒くさいことが嫌いな雨月姉と同時に席を立って、
千寿姉が気づかないうちにそそくさと部屋を…
「…どこいくつもり、時雨」
「Σ( ̄□ ̄;)
え、えーっと…」
ガッチリ見つかってた!!
必死で言い訳を考えていると、
いつの間にか、向かいに座っていた千寿姉が笑いながら肩を掴んでいた。
少しだけ背の低い千寿姉が上目遣いらしきもので、俺を見ているのだが、
さっきまで暴れていたせいで、少し乱れた髪に
笑った顔と対象的な
全く笑っていない目。
…ホラー映画並みの怖さ!!
見たことないけど!
「話に付き合うわよね?」
「はい…」
雨月姉は気配すら残さず消えていて、
結局、朝の4時まで
千寿姉の愚痴を聞かされるはめになったのであった。