俺の姉(+従姉)たちが個性的すぎる件について

***

その後も、順調に準備が進み、夕飯が完成した。

「よし、完了!」

「お、出来たのか」

調理してる俺らに変わって、神楽姉はテーブルのセッティングをしておいてくれたらしい。

「よし、じゃあ時雨、雨月呼んできて!」

「了解…って何で雨月姉いないんだ?」

「そういえば、そうだな。もう帰ってはいるはずだが…」

「呼んだ?」

声が聞こえて後ろを振り返ると、階段を下りてきているのが見えた。

やっと三人目。

久保 雨月-Kubo Uzuki-

前髪をピンで止めた、ショートヘア。縁眼鏡の奥からは、気の強そうな鋭い目がこちらをみている。

マンガとゲームが大好きで、基本的に外出はしない。高校二年生の三女。

あとは、上の二人は結構スタイルがいいのだが、雨月姉は少し胸が貧

バコッ

「絶対今、テメェ失礼なこと思ったろ」

「ってぇ!」

「全く」

うー。いっつ…
スリッパで叩くなよ!

…お分かりいただけただろうか。

雨月は、ツンクールな性格なのだ。

よく言われる『ツンデレ』というのは、デレがあって成り立つものであって、
雨月には、デレなんぞない。

ので、ツンツンクール→ツンクールというわけ。

この言い方が、一番俺的にしっくりくる、雨月姉の説明。

「ってか、来るの今さらかよ」

「…話が読めないんだけど」

「えーとだな」

こういうときに適役な神楽姉がざっくりと内容を説明。

「…というわけ」

「なるほど。確かに手伝わなかったのは悪かった。…けど」

目を細めながら羽衣姉を見る。

「羽衣姉に理由、説明したと思うんだけど」

「えっ?」

ポク、ポク、ポク、チーン!

「あ、思い出した!」

って、マンガかよ!

「何か言ってた気がする〜」

「それ、思い出したっていわないと思うぞ…」

「…理由もう一回説明すんのめんどいから省くわ。んで、代わりに明日、夕飯一人で作るから」

「マジで!?」

雨月姉は、羽衣姉と同レベルかそれ以上に料理が得意。お菓子の方が旨いんだけど、料理も負けず劣らずだ。

その代わりというか、他の家事はあんまり

ゴツッ

「また、失礼なこと思ったろ」

「おぉ、今度は拳か」

「雨月、男前だね!」

…っつう。

「はやく、バカは放っといて、ご飯食べよ」

「腹減ったしなー」

「今日は鮭のムニエルだよー」

「マジで?やったー」

…えっ?

俺、放置ですか?

えっ?泣くよ?

「時雨ー、悲劇のヒロインぶってないでさっさと来い」

「ぶってねえよ!ってかそれ以前に男だからヒロインじゃねーし!」

「ったく口の減らない。さっさと来ないと明日の弁当にあんたの嫌いなキノコとこんにゃくの炒め物いれ「分かった分かった!すぐ行く!」」

雨月姉の脅し方、容赦ねえ!


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