その一枚が恋だと気付くのに、どれほどの時間が必要だろう
「よう」


メインステージを離れると、いきなり背中を叩かれて振り返ると、そこには親友が嬉しそうに立っていた。


「演劇部、オオトリじゃねえか。

もちろん、観に行くんだろ」


思えば、こいつが昨日ああいうことを言ってくれていなかったら、自分の気持ちに気付けていなかった。

普段はくだらないことばかり言い合っている奴だが、このことに関しては感謝しなければいけない。


「ああ」


「・・・」


「どうした?」


「お前、いい顔になったな」


その言葉にうっすらと笑い、こいつのすねを軽く蹴った。

しかし、軽く蹴ったつもりだったが予想以上にいい箇所に当たったのか、少しだけ涙目になっていた。


「いてぇな」


「お前のおかげだよ。

ありがとな」


そうして、僕は演劇部の公演まで時間を潰すことにした。
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