花火
 

「んっ……!」



女の唇が俺のそれを塞いだ。


突然のことに少し驚いたけど、キスくらいでドキドキするほど純情じゃない。


俺はすごく冷静だった。


おいおい、そう来るのかよ。


まったく、本当にめんどくさい……。


俺は薄目を開けたまま、女の表情を眺める。


──涙で化粧ぐちゃぐちゃじゃねぇか。



「──……」



俺はされるがままにキスされる。


おこちゃま、だな。


舌も入れてこない触れるだけの、フレンチキス。


女の唇が俺から離れた。


女と俺の視線が絡み合う。



「………気ぃ済んだか?」



子供をあやすように言うと、女はクッと嘲笑した。



「──まさか。バカにしてる?あんたが思ってるより、あたし経験してるよ?こんなのガキレベルでしょ?」



「あ、そ。それはそれは……っ!」

 
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