花火
 

──カシャン!


身体をくねらせて逃げそうになる女を、フェンスに押し付ける。



「──んっ!」



──ひゅるるるる~


ドーン!


俺たちの真横で鳴り響き始めた花火。


薄目を開けると、女の顔が花火の光に染まっている。


苦しいのか、他の理由なのかわからないけど、目からは涙が一筋。


そして、すがるように俺のYシャツを震える手で必死に掴む姿。


こんなのに落ちるはずなんてなかった。


なのに、この時、かわいいって思ってしまったんだ。


──おまえを抱いたら、どんな表情見せてくれるんだ?声を聴かせてくれるんだ?……って。


一瞬でも抱きたい、と思ったら最後。


一度着いてしまった火はすぐに消えることはなく、燃え尽きるまで熱く燃える。


俺は……、いやきっと女も、完全に熱が上がっていた──。

 
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