花火
*+.。.+*.。.
俺はふと目を覚まし、むくりと身体を起き上がらせる。
「んー……!」
両腕を天に向かって上げて伸びをした時、久しぶりに感じる身体のだるさに気付いた。
……あー……、そう言えば……ヤったんだっけ……。
久しぶりだったからか……はたまた、あの女のせいなのか、あんなに夢中になってしまったのは予想外だった。
俺はベッドに目を落とす。
そこは、ただの空間。
──……いない。
嘆息し、ベッドから降りる。
リビング、キッチンを見渡すけど、いつもと同じで人の気配はなく、しんとしている。
残り香さえ、ない。
「…………帰ったのか」
いつの間に出ていったんだろうか……。
全く気づかなかった。
……まぁ、彼女面されていられても困るし、一晩だけの関係っていうのはわかりきっていたことだから、全然問題はないけど。
ちょっとした火傷だな。
痕の残らない、軽い火傷。
そう思いながらも、何でか頭の中にはずっとリンのことが残っていて。
表情も、声も、肌の温もりも。
……またリンを抱きたいという気持ちも。
自由気ままに過ごす予定だった休日は、ふとした拍子にリンのことを思い出してしまう時間がダラダラと流れていった。