花火
「──あ、そうだな。じゃあ答えがわかったら、この前の本の感想文出して。出した日の週末、同じ時間にここで答え聞くから」
「いや、意味わからないんですけど」
「あ?簡単なことだろ?答えがわかったら、感想文出せばいいだけ。」
「日本語の問題じゃなくて……!」
完全に俺のペースで強引に物事が進んでしまっていることに、明らかに中村は動揺している。
きっと中村もここに来るまでは、自分優勢でコトが進むと思っていただろうし、完全にひっくり返った今、心の中は焦りでいっぱいだろう。
それを俺は利用する。
「……答え聞かなくてもいいなら、別に俺は構わないけど」
「!……変に勿体ぶらなくても、答えを教えてくれればいいんですけど。ヒントもなく、わかるわけないし。だから……答えだけ教えてください。それで終わり。いいですよね?」
「……へぇ?答えは知りたいんだ?」
「っ、そ、りゃ……だって、中途半端なのって気になるし」
拗ねたような表情をして、頬をぷくっと膨らませた顔がツボで。
──触りたい。
自然とそう思った。
「……じゃあ、仕方ないから、ヒントね。」
「!」
俺が中村の顔に手を当てると、中村が驚いたように俺の顔を見た。
ぱちくりさせてる目も……かわいい。
あーなんだ、これ。
勝手に身体が動く。