花火
私の表向きの顔は、『優等生のいい子』。
それは学校だけではなくて、家でもそう。
勉強ができて、物分かりが良くて、ネガティブなことやワガママなんて絶対に言わない。
いつも余裕のある笑顔と行動。
いつからかそんなイメージがついてしまっていて、一度そんな自分を作ってしまったら、もう崩せなくなった。
優等生でいるために、いつも私は必死だった。
ずっとずっと、どこにいても息苦しさを感じてる。
……優等生の“凛”なんて、いらない。
嫌い。
──だけど、私がこうしていい子を演じることができたのは、ずっと傍にいてくれた雅也のお陰だった。
この前までは私にとって、唯一の救いが雅也だったんだ。