花火
 

私の表向きの顔は、『優等生のいい子』。


それは学校だけではなくて、家でもそう。


勉強ができて、物分かりが良くて、ネガティブなことやワガママなんて絶対に言わない。


いつも余裕のある笑顔と行動。


いつからかそんなイメージがついてしまっていて、一度そんな自分を作ってしまったら、もう崩せなくなった。


優等生でいるために、いつも私は必死だった。


ずっとずっと、どこにいても息苦しさを感じてる。


……優等生の“凛”なんて、いらない。


嫌い。






──だけど、私がこうしていい子を演じることができたのは、ずっと傍にいてくれた雅也のお陰だった。


この前までは私にとって、唯一の救いが雅也だったんだ。

 
< 39 / 178 >

この作品をシェア

pagetop