花火
 

心の中では二人の姿を見るのが嫌で嫌でたまらなかった。


……醜い、嫉妬。


変なプライドのせいか嫌な女にだけはなりたくなくて、それを出さないようにと自分の気持ちを封印していたけど、雅也と一緒にいても日に日に大きくなるのは不安だけだった。


だから、私から切り出したんだ。


“どっちか選んでよ”って。


……いや、本当は雅也から別れを言われるのが怖かったから、自分のタイミングで言った方がマシだって思った。


でもほんの少しだけ期待してたんだ。


雅也は私を選んでくれるはず、って。


でも──


花火大会の日、待ち合わせ場所に来た雅也は……私に向かって頭を下げた。


“辛い思いさせてごめん”って。


何度も謝られた。


何でそんなに真っ直ぐなの?


怒れないじゃない。


……わかった、って言うしかなかった。


嫌な気持ちを封印して、最後まで本当の自分を出せなかった。


──結局、私は雅也の前でも自分をさらけ出せてなかったのかもしれない。


 
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