花火
 

──……なんて先生を軽く見てたのに。


その予想は簡単に裏切られて、先生の方が上手だとすぐに思い知らされた。


少し話しただけなのに、私の性格わかっちゃうし、口止めしなくても私が誰にも言わないってこともわかってた。


──何で……そんなに私のことわかっちゃうの?


優等生を演じる私は“いつも余裕だよね”と言われることは多くても、こんなに押されることなんて今まで殆どなかった。


この日だって余裕に見せるために、気を張っていたのに。


先生は私の中にどんどん入ってきて、私の心を簡単に乱す。


……悔しい、って思う反面、それを嬉しいと思ってる私もいた。


もしかしたら先生は、私の汚い部分を、本当に理解してくれるかもしれない……と感じたから。

 
< 44 / 178 >

この作品をシェア

pagetop