花火
03
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オレンジの夕日が校内を照らす。
生ぬるい空気が立ち込めた廊下に、外から風が入り込んできていて、緑のお陰か涼しく感じる。
ふと、外に向けていた目線を廊下に向けた時、反射的に私の身体がびくっと跳ねた。
「っ!」
──雅也……。
廊下を正面から歩いてくるのは、ついこの前まで好きだった人。
雅也も私の存在に気付き、私のことを真っ直ぐと見てきた。
……不思議。
今雅也のことを見ても……辛いなんて感情はどこにもなかった。
ていうか、久しぶりだな、っていう感覚しかなくて。
先生のことを好きになってしまったからかな。
人の心が変わるのって、こんなに早いものなんだ……。
「…………凛。元気、してるか?」
雅也は前と同じように、優しい笑顔を浮かべて私の名前を呼ぶ。
逃げずに真っ直ぐと向き合ってくるところが、すごく雅也らしいなって思った。
でもたぶん、無理して笑ってくれてるんだと思う……。
そうさせるのは、この私だ。
……そんなの、ダメ。