花火
 

「──あ、うん!元気だよ!私のことより、雅也こそどう?実可子とはうまくいってる?」



私は心配させまいと、その口調にからかいを含ませて、明るく振る舞う。


ていうか、本当に私はもう大丈夫だし。



「あーいや……」



雅也は私から目を反らして、頭をぽりぽりと掻いた。


え、何?


この反応。


最近先生のことでいっぱいすぎて、他のことを気にしてる余裕なんてなかったけど……



「……ねぇ、もしかして、まだコクってないの?」



「……そんなの、無理だって」



「……」



雅也は苦笑いする。


てっきり、二人はもう付き合ってるんだと思ってた。


何で無理なの?


──私の、せい?


二人とも優しいから、私のこと考えてすぐに付き合うことなんてできないって……?


こんな私なんかのこと、気にしなくていいのに──

 
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