花火
 

公園に行く途中、ふとマンションのエントランスに目を向けた。



「──!」



先生……!


私の目に入ってきたのは先生の姿。


先生はいつもとは違い、白のTシャツに青チェックのシャツを羽織っていて、下はジーンズ。


初めて見る背広以外の先生に、違う男の人のように感じた。


すごく新鮮で見ていたいと思ったけど、まだ先生に会う心の準備ができてない!と私は慌てて木の陰に隠れる。


先生どこかに行くのかな?と、木の陰からこそりと覗き込んだ。


その時、私の目に入ってきたのは、先生……と女の人が親しそうに話す姿。


え……?その人は、誰……?


すごく綺麗な女の人。


私の心臓はドクンドクンと波打つ。


私はうるさく鳴り響く心臓の音を少しでも抑えたくて、苦しくて、胸に拳を当てた。


──……あ……っ


……その瞬間、気付いた。

 
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