花火
「離して、くださいっ。誤解されますって……!」
「…………誤解?あいつに?」
「へ……?あいつ……?」
先生の口からまた“あいつ”って出てきたけど……あいつ、って何?
わからなくて、先生の顔を見上げる。
「っ!」
そこには、悲しそうな表情をした先生がいた。
何でそんな顔するの?
この前、私が雅也といた時と同じような顔。
そして、この前、キスされた時と同じ──
……先生はあんなに綺麗な彼女がいるんだし、私のことなんて、好きじゃないんでしょ……?
なのに……
「せんせ……?どうして」
そんな顔、するの……?
私が先生に歩み寄ろうとした時だった。
「──ねぇ、あれって田辺先生じゃない!?」
「え?あっ、ほんとだ!田辺先生ー!」
「!」
私の後ろから聞こえてきた女の子たちの声に、私はギクリとした。
──嘘、うちの高校の人!?
それ、ヤバくない……!?