あたしと君と猫と
「…ねこ」
「うん、ねこ。まだ子どもだからすっごい小さくてかわいーの。オレのお姫様」
「…そう」
お姫様って…
親バカならぬ飼い主バカね
…でも猫の話している入野学はすごく楽しそう
きっとその『お姫様』が大好きなんだろう
「私の勘違いだったみたい。ごめんね。ななせちゃん探しがんばって。じゃあ」
早くこの場から去りたい
さっきの勘違いはあたしの今世紀最大の失態だわ!
「待って、小沢さん」
公園を出ようと歩きだそうとしたところを入野学に右腕を捕まれりる
「何?」
もーやだーっ
あたしは早く帰りたいのに!!
「一緒にななせ、探してくれない?」
「えっ、で私今日用事があって…」
だからほら、早く手を放しなさい入野学!
「ダメ…?」
きゅん、…
あ、まただ
「わ、分かったわ」
「ありがとう、小沢さん」
了承してしまったのは
きっとこのきれいな笑顔がみたかったから
◇
「わーななせーっどこいってたんだよーっ!小沢さん手伝ってくれてありがと!!」
「みゃん」
「ううん、いいわよ。見つかってよかったわね」