隣の席の鈴木君
2.ちょっと癖のある小説家
…それから数時間後。

そろそろ定時の時間。

今日は珍しく、残業もなく帰れそうだ。

そう思うと足取りも軽くなる。

「鈴木君、この前の続きやってくれた?」


「・・・ああ、これ」


「ありがとう…じゃあ、私はこれで」

受け取った書類を持って、

出来上がったそれを部長の所に提出しようと

歩き出した。



「西野」

「・・・ん?何?」


「仕事はまだこれからだ」

「・・・」

聞きたくなかった言葉を、

鈴木君は無表情で私に告げた。

・・・仕事はまだ?

今担当の人たちの仕上げはまだだし、

他に仕事なんかあったっけ?


私は鈴木君のその後の答えを待った。


「さっき企画が通って、

新たな小説家の担当も決まった」


「…ウソ、マジで?」

「…大マジ」
< 12 / 137 >

この作品をシェア

pagetop