隣の席の鈴木君
…ヤバい。

無防備すぎて、可愛すぎて、

ギュ~って抱きしめたくなった。

…とは言っても。

私はすでに、鈴木君に抱きしめられているんだけど。


「・・・早いな」

まだ夢見心地の鈴木君が、

私に声をかけた。


「…ゴメンね?寝ちゃって・・・」

謝ると、鈴木君は首を振った。



「疲れたんだろ、

酔っぱらいの相手・・・」


「うん、スッゴク」


・・・その後、2人の間に、

長い沈黙が流れる。

その間も、2人の目線は逸らされることはなかった。

・・・ちょっと、いや、かなり気まずい。


「…鈴木君」

「・・・何?」


「…この腕、そろそろ離さない?」

そう言って、ニコッと微笑むと。


「…イヤ」
< 38 / 137 >

この作品をシェア

pagetop