隣の席の鈴木君
【聡美side】

…そこで電話は切れた。

・・・何?

今聞こえた声は、美智子先生だった。

今まで一緒に仕事をしてたのかもしれない。

…でも、さっきの言葉、

あれは、明らかに告白だった。



「正宗ちゃんが好き」


その言葉が何度も頭の中を駆け巡る。

・・・いや。

私の鈴木君を取らないで・・・

奪わないで・・・

今すぐ鈴木君の所に行きたいのに、

いけないのが悔しくて、

悔し涙が出た。


鈴木君に会いたい。

今すぐにそこに言って、

鈴木君を取り戻したい・・・


「聡美ちゃん、どうした?」

その声にハッとして、

顔を上げる。

そこには浴衣姿の龍之介が、

心配そうな顔をして、私を覗き込んでいた。
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