隣の席の鈴木君
「…ゴメンね」

俯いたまま、そう呟く。

やっぱりダメだって思うし、

それに、すぐに鈴木君に言えなかったことが、

申し訳ない。



「オレも、ゴメン」

そう言った鈴木君は、

私に深々と頭を下げた。


ちょっと驚いたけど、

私は微笑んで頷いた。


切れかけそうな気持が、

またしっかりつながった気がした。



「千田先生は?」

「まだ寝てるんじゃないかな?

遅くまで執筆してたし・・・」



私と鈴木君が振り返ると、

2人ともその場から動けなくなり、

一点を見つめた。


「千田先生はここにいます」

そう言ったのは千田龍之介本人だった。
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