隣の席の鈴木君
私も27だし、

両親も、いつ結婚するんだって、

耳にタコができるくらい言われて。

まぁ、鈴木君と付き合う事がなかったら、

結婚なんて考えてもなかったんだけど。



「…あ、この曲好き」

車の中で流れてるのは、

私の好きなアーティスト・・・


「うん、知ってる」

鈴木君は前を向いたまま、

無表情に答えた。



「・・・何で知ってるの?」

私が好きだって言ったっけ?



「前に、一緒にいる時、

突然この曲が流れ始めて、

聡美が自分で言ってた」


「・・・そうだっけ?」


「うん、独り言みたいに言ってたけど」

…それを聞き逃すことなく、

頭の隅に置いててくれたんだ。
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