交換ウソ日記
明らかに群を抜いてうまい瀬戸山。スポーツ万能なのだろうか。
帰宅部、だったはずなのに。
中学までやってたのかな。サッカー部のエースでもなんら違和感ないくらい、走り回っていて、数分見ているだけで2ゴールを決めた。
楽しそうな顔をして、友達と駆けまわる。
理系コースの女の子が周りから声援を送っているのがわかる。それに反応して片手を軽く上げる。
女の子が少ないから男女混合で体育をしているらしい。
あの女の子の中で、何人が瀬戸山に好意を抱いているんだろう。
よく笑う。女の子に対してもかっこつけたような感じはない。男の子の輪の中にいると、小学生男子のようにはしゃいでいる。
好き嫌いは別にして、誰が見たって魅力的であることは、私にだってわかる。
あんなふうに気軽に話しかけられたら、ちょっと期待しちゃうのも仕方がない。
返事……あんまりだらだら続けるのもよくない、よね。
私はそんなつもりないもの。なのにこんな中途半端な会話を続けるなんて不毛だ。
ふわっと濁すような言い方じゃ、きっと瀬戸山は納得しないだろう。
はっきりと、伝えるしかない。わかっているけれど……どう伝えれば私も彼も、満足するのかがわからない。
他に好きな人がいるとでも言おうかな……。ウソになるけど。
うーん、と眉間にしわを寄せて考えていると、先生に「今そんな難しい問題出してるか?」と怪訝な顔をされた。
先生からは出されてないけど、瀬戸山から出された超難問にぶち当たっているんです。