交換ウソ日記
「あ、帰ってきたー希美!」
教室に入るなり、テンション高めの優子の声。
やましいことがあるからか、思わず一歩引いてしまった。ノートの入ったポケットに手を添えながら。
「な、なに?」
「なにじゃないわよー! どこ行ってたの、帰ったかと思った!」
ずずずい、と近づいてくる優子にもう一歩引いてみる。
「まさか。まだホームルーム残ってるのに」
「希美ふらっとどっか行くからー。今日は合コンよ合コン。ホームルーム終わったからって姿消さないでよー」
「ん、わかった」
そう言えば今日だっけ。
昨日も言われたのに、毎回忘れている自分に驚きつつも、それを悟られないように笑う。
合コン、かー。
今となってはとりあえず何でもいいから断っておけばよかったかなあ。
正直、瀬戸山のことだけで頭がいっぱいだし……。手紙のやりとりでほかのことを考える余裕もない。
出会ったところでどうなるとも思えないんだけどな。
まあ、今更断れるはずもない、か。
相手がどんな人たちかわかんないけど、それなりにやり過ごさなくちゃ。
うきうきとテンション高めの優子たちを見ながら、私もとりあえず楽しみなそぶりを見せた。
にこにこ笑って「楽しみだね」って、思ってもないことばっかり口にする。
ホームルームが終わって、優子に連れられて駅に向かう。
女の子は4人。相手も4人だろう。