交換ウソ日記

考えれば考えるほどわからなくなる。
これが全く知らない人からであれば、気にすることなく“見なかった”ことにできるのに。


「……あんまり、絡みたくない人っていうのがまたなあ……」


気を重くする原因のひとつだ。


本気かどうかわからないとはいえ、人から“好きだ”と言われたっていうのに。

なんでこんな気分になるのだろう。



誰かが瀬戸山のことを悪く言っているところを聞いたことがない。誰もが口を揃えて“裏表のないやつだ”という。

告白されても適当なことを言わず、真っ直ぐに断るらしい。瀬戸山に告白した友達は『振られたけど、仕方ないよね』と涙を浮かべながら笑っていた。

別の誰かに告白して振られた友達は『ありがとうとか言って、勉強とかクラブを理由に断るんだったらハッキリ言ってくれたらいいのに!』と怒っていたのに。


クラスにひとりはいる。中心人物のような人なんだろうと勝手に思っている。


ウソ偽りなく、躊躇なく、自分の意見を真っ直ぐに言える人。どんな発言であれ、それに悪い印象を与えない。

人の顔色をうかがうこともなく、いいことも、嫌なことも、ハッキリと口に出来る人。それでも、人を引きつけ、集める。きっと自分に自信があるんだろう。


——私と、真逆だ。


「なんで、私なんだろう」


自分で言うのもなんだけど、平々凡々を絵に書いたような存在だと思う。

クラスで目立つような明るさもかわいさもないし、成績もスポーツも普通。


「かといって、どうすればいいのよー」


もらったものをゴミ箱に捨てるようなことも出来ず、項垂れるしかない。

ピピピッとお昼の終わる15分前のアラームが鳴って、深いため息を落としながらお弁当箱をぱたりと閉じた。
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