交換ウソ日記
次々に歌い始めるみんなに、適当に笑顔を向けて、マイクを渡されるといつもの曲を入れる。ヘラヘラ笑っていればとりあえず場が盛り下がることもない。
優子の友達は米田くん、というのだけは覚えたけど、他の男の子の名前はよくわかんない。
一番盛り上げてくれるから、彼に合わせていればなんとかやり過ごせそう。
みんなが好き好きにドリンクバーコーナーに席を立つから、いつのまにか瀬戸山の隣ではなくなった。近くの女の子とそれなりに話をしている。
始めはそんなに愛想を振りまいていなかったけれど、今はそれなりに盛り上がっている。
笑顔を見せたり、冗談を言ったり。
思った通り、彼はどことなくムードメーカーな雰囲気がある。
一番明るくて、みんなに話しかけているのは米田くんだけれど、瀬戸山はその米田くんにチャチャを入れたりして、みんなを笑顔にしている。
文句を言いつつもイヤミがない。それを全て笑いに変えているし、言われた男の子も笑顔のまま。
友達が多いのも頷ける。
誰とでも仲良くなれる雰囲気がある。
取り繕ってない彼の言動に、今ヘラヘラと笑っているだけの自分が馬鹿みたいに思えてくるくらいに……。
「次、希美歌いなよー」
「え? もう歌えるのないよー」
「またまたー。それかほら、お昼で流してるようなの、歌えないの?」
余計なことを……。
お調子者かと米田くんに突っ込みたくなる。せっかくそんな話忘れていたっていうのに。