短編花の色は移りにけりな悪戯に
桜吹雪きの中で
「OK!じゃ、タクシーに乗っちゃって渋谷区東一丁目の交差点まで来て、分かる?」
「分かるよ、明治通り添いでしょ」
「そうそう!」
「そこに着いたら、電話して」
「というか、すっぴんで髪の毛ボサボサなんだけど!」
「そんなの気にしないで、早くおいで!」
「うん。20分かな。ていうか私の顔覚えてんの?」
「当たり前だよ、ベイビーの事は、しっかり覚えてるよ」
「花輪くんみたいだね!」
って、鼻で笑ってみたら、
「何それ?」
「ちびまる子ちゃん見たことないの?」
「そんなこと後でいいから、早くおいでよ」
今、思えば酔っぱらいと、寝呆けの、何て脈絡のない会話なんだろうかと思うけど、その時は、それが普通だった。
小学生と変わらない会話だった。
私は、全く回らない頭で、シャワーも浴びず春物のワンピースを着て、ボサボサの髪をといてみたもののまとまらないままバッグを持って出掛けた。
通りでタクシーをすぐ捕まえて運転手に目的地を言うと、私は、すぐにiPodで最近、お気に入りのJPOPを聞いた。
運転手さんが、必死に、政治経済や格差社会の話をしてきてたのには気付いていたけど、何でこの人と、寝起きで頭も回ってない私が、そんな固い話をしなきゃいけないんだろうと思いつつ、笑っていいとも!張りに、「そうですね!」と、適当に相づちを打っていた。
惚けてるって、案外幸せなのかもしれない。
何も、考えなくていいし、何も気にならないから。
週頭の夜中の都内の道路は、昼間とは打って変わって空いていた。
寝過ぎで、今も尚、夢を見ているかのようだったから、あっという間に目的地に付いた。
「分かるよ、明治通り添いでしょ」
「そうそう!」
「そこに着いたら、電話して」
「というか、すっぴんで髪の毛ボサボサなんだけど!」
「そんなの気にしないで、早くおいで!」
「うん。20分かな。ていうか私の顔覚えてんの?」
「当たり前だよ、ベイビーの事は、しっかり覚えてるよ」
「花輪くんみたいだね!」
って、鼻で笑ってみたら、
「何それ?」
「ちびまる子ちゃん見たことないの?」
「そんなこと後でいいから、早くおいでよ」
今、思えば酔っぱらいと、寝呆けの、何て脈絡のない会話なんだろうかと思うけど、その時は、それが普通だった。
小学生と変わらない会話だった。
私は、全く回らない頭で、シャワーも浴びず春物のワンピースを着て、ボサボサの髪をといてみたもののまとまらないままバッグを持って出掛けた。
通りでタクシーをすぐ捕まえて運転手に目的地を言うと、私は、すぐにiPodで最近、お気に入りのJPOPを聞いた。
運転手さんが、必死に、政治経済や格差社会の話をしてきてたのには気付いていたけど、何でこの人と、寝起きで頭も回ってない私が、そんな固い話をしなきゃいけないんだろうと思いつつ、笑っていいとも!張りに、「そうですね!」と、適当に相づちを打っていた。
惚けてるって、案外幸せなのかもしれない。
何も、考えなくていいし、何も気にならないから。
週頭の夜中の都内の道路は、昼間とは打って変わって空いていた。
寝過ぎで、今も尚、夢を見ているかのようだったから、あっという間に目的地に付いた。