短編花の色は移りにけりな悪戯に
降りようとすると、
けんけんが、タクシーに乗り込んできた。
「ベイビー久しぶり!運転手さんそのまま恵比寿に向かって」
そういうと彼は、慣れた手つきで手をつないできた。
「私、前、東2丁目に住んでたんだ」
「国学院のとこ?」
「うううん、もっと上、天皇の親戚の家の側」
「マンション?」
「うん」
「高かったでしょ?」
「そうでもないけど、意外に不便だった。」
「どっから来たの?」
「会社が、さっきの交差点のとこ」
「家は?」
「白金」
「ふぅ〜ん」
お互いなんて、心のない会話なんだろうか。
それでも、新婚夫婦ばりに仲がいい感じを醸し出していたのは、波長があっていたのだろうか?
「運転手さんここで」
タクシーを降りると、二人とも、 「寒いね!寒いでしょ?」
と、笑いあった。
まるで、二人とも春の夜が寒いのを知らないかのように、申し合わせたかのように、同じ黒で、同じく薄着な格好をしていた。
私は、どこに行くのか聞かなかった。
癒される相手だったから。
けんけんが、タクシーに乗り込んできた。
「ベイビー久しぶり!運転手さんそのまま恵比寿に向かって」
そういうと彼は、慣れた手つきで手をつないできた。
「私、前、東2丁目に住んでたんだ」
「国学院のとこ?」
「うううん、もっと上、天皇の親戚の家の側」
「マンション?」
「うん」
「高かったでしょ?」
「そうでもないけど、意外に不便だった。」
「どっから来たの?」
「会社が、さっきの交差点のとこ」
「家は?」
「白金」
「ふぅ〜ん」
お互いなんて、心のない会話なんだろうか。
それでも、新婚夫婦ばりに仲がいい感じを醸し出していたのは、波長があっていたのだろうか?
「運転手さんここで」
タクシーを降りると、二人とも、 「寒いね!寒いでしょ?」
と、笑いあった。
まるで、二人とも春の夜が寒いのを知らないかのように、申し合わせたかのように、同じ黒で、同じく薄着な格好をしていた。
私は、どこに行くのか聞かなかった。
癒される相手だったから。