【短】1番でいたい
パチンパチンと紙を留める。



ただそれだけの作業でいつもなら



簡単に投げ出しちゃうのに



響が隣にいるせいか真面目にやってる自分。



「なぁ、沙羅は好きな人いねぇの?」



この子ッてば何訊くのぉ―――ッ!!



「その反応はいるんだ。」


「響には教えないし、ってかいないし。」



マジで言ったら告白になっちゃうでしょッ!!



「俺が教えたら教えてくれる?」



響の好きな人なんて聞いたら泣いちゃうから。



「ヤダ、教えない。」


「ふーん、つまんねぇの。」



心臓バクバクで沈黙に耐えられなそう。



「いるんだ。響は。」


「は?」


「美浜サン?うん、似合うんじゃない?」



思ってもないことが口から飛び出す。



素直になれない自分がもどかしい。



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