【短】1番でいたい
教室を出て行った響。



響が出て行った教室にただあたしは1人



響の行く先を目で追っていた。



目には涙が溜まる。



ひっくと嗚咽が漏れる。



ぱたんぱたんと誰かの足音が聞こえる。



やばいと思い、必死に声を抑える。



声は何とか抑えられたものの、



涙は止まらない。



誰かがもし入ってきたら、



泣いてる姿を見られてしまう。



どうか入ってこないでと、



静かに心の中で願う。




響はもう告ったのかな・・・?



そんなことが頭によぎって、



迂闊にもまた嗚咽が漏れる。



近くで足音がパタリと消えた。



あたしはとにかく開けた時に見えぬよう



教卓の横にちょこんと座り、



息のみを殺した。



涙は殺すことが出来なかった。




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