カミレンジャー! その2
「おはようございます。」

 受付のお姉さんとも、もう顔見知りだ。最初はパスやらナンやらで手間取ったが、今では顔で通じる。

「おはようございます。あれ?青山さん。その首寝違えたんですか?」

「え?・・・ま、まぁそんなところです・・・。」

 さすがに母親に、しめられた結果だとは言えない・・・。

 階段を上って下りて、いつものエレベーター。

 この血文字はいつまでたっても慣れない。

 てか、慣れたとき自分の中で何かが終わるようで怖い・・・。

「おはようございま~す。青山ただ今出勤しました。」

「違う!!」

 寝ぼけなまこのまま挨拶をして、隊長に怒られる。

 いつもの日課だ。

「え、でも・・・」

「いいから、やるの!!」

「分かりましたよ・・・」

 両足をそろえて、左腕を後ろに、右手を頭に、俗に呼ばれる『敬礼』の姿勢をとる。

「カミレンブルー。ただ今無事帰還しました!!」

 ・・・・どこから?

「よし、それで結果は?」

「異常なしであります!!」

 てか、あったらどうするのか、一度聞いてみたい。

「よし、それでは持ち場に戻りたまえ。」

 持ち場も何も、ここがその仕事場だ。

「ハイ。」

 いいながら、いつもの席。・・・イエローの隣に座る。

「あ、ブルー。おはようございます。早速で悪いんですが、今日はここを・・・。」

 イエローから渡されたのは国語の参考書。

「あぁ、はいよ。」

 いいながら、問題を解いていく。

 ちなみに昨日は数学だった。一昨日は理科。

 すっかり、イエローの専属家庭教師である・・・。

 いくらバカとはいえ、中学ぐらいの問題なら解ける。

 これでも家庭教師のバイトだってしたことがあるのだ。

 あぁ、公務員って楽な仕事だな・・・。

 バカは、参考書片手に遠くを眺めて思った。
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