桜色の川と君の詩
「でも俺、由希ちゃんとしか話してないよ。それなのに変なもんだな…」
「そうなの。啓介さん、由希としか話さないよね…」
由希は下をみながら微笑んだ。
「じゃ、毎回隣同士で教科受けてるから、それもウワサになってるかもね」
「うん…」
由希は下を向いたまま、僕の言葉に小さく頷いた
由希の時たまあたる手を握った。由希も軽く握り返してくる
電灯がつき始め、辺りは虫の声で騒がしいくらいだ
夏と秋が混在しているような山の夕暮れ…月が明かるい
涼風が心地よかった昔飼っていた鈴虫の声がそこらじゅうで聞こえた
「くつわ虫の声かな…スイチョッて」
懐かしくなり、一人言のように呟いた
「あ、あれ ちょっちょ虫だよ」
由希は答える