桜色の川と君の詩
君に会うまでは
それから二人で相模湖に出かけた
夏休みだからだろう。人で混雑している
二人でなるべく人ごみのない場所を選んで腰掛けた
「啓介さん、ほっぺ大丈夫?」
「うん、少し痛いけど平気だよ…」
まだ少し腫れて見えるらしい
由希は僕の頬を撫でた
「由希ね…きっと啓介さんに会った時に好きになってたんだよ…教習所で朝会った時から」
「え?バス停で話したのが初めてじゃない?」
「へへ…違うの。思い出せない?」
「え?いつ?」
由希はわざとツンとした
「いいの~。知らなければ」
夕方になり、湖面から涼しい風が吹いてくる
僕はジャケットを脱ぎ、由希にかける
(そろそろ帰ろうか)
そういうつもりが言い出せずにいる
あさってから教習所も盆休みに入る…5日間は宿舎から出ないといけない