桜色の川と君の詩
提灯の灯りが夕闇を照らし、屋台が連なっている
飴の焼ける匂いが鼻をくすぐる…
「啓ちゃん、こっち見て!」
由希は小さな御輿が矢倉の方からくるのを指差した
久しぶりの祭りだ。
子供の頃は大好きだった。幼心に夜の明るく楽しい店が並ぶ光景…踊る人は、まるで別世界のような憧れだった
「啓ちゃん、明日夕方から祭りがあるの…一緒に行かない?」
昨日そう言われ由希と来ている
高校生になってから、すっかりこの光景を忘れていた
僕は出店を一つ一つ確認しながら、ゆっくりと歩いた
由希は子供みたいに光るワッカを腕にはめて僕を見て微笑んだ
「啓ちゃん、お好み焼き付いてるよ」
「由希、金魚すくいしよっ」
口を拭うと二人で金魚すくいに夢中になった