桜色の川と君の詩
由希は続けた
「昔付き合ってた人、絶対親に会ってくれなかったから…」
「緊張はするからね…由希はお父さん似かな?目が違うよね」
「よく言われるの、お父さん似だって…
怒ってなくて良かった」
由希は笑った
「お母さん、啓ちゃん気にいったみたいよ」
「?え…?コラ、もう突然は勘弁だぞ!」
僕は由希を抱きかかえるようにしてくすぐった
由希は逃げるように隣の石に跳んだ
「へへっ、でも由希には大事なことだったのよ」
「うん」
わかってるよ…教習所を出て帰る前に、由希。何か絆が欲しかったんだよな
僕はそう思った
「由希うれしいな…
今度、お父さんと会ってくれる?」
「いいさ…でも来年就職してからだね、お父さんとは…
あと由希をウチにも連れていかなきゃな」
「え?本当に?
ちょっと怖いけど、啓ちゃんの親なら頑張るよ。由希」
由希は微笑んだ
由希が立っている岸から川を見る
提灯の灯りに照らされて川がところどころ桜色に光って見えた…
由希の笑顔が桜色の川に映える