【完】あの子の隣にいるのはスキな人……
『ねぇ啓人、ここは?』
勉強が苦手なあたしは得意な啓人に
教えてもらうことが日課になっていた。
啓人は笑顔が増えて、あたしにいつもみたいに
『バカじゃねえの?』
って笑ってくれるようになった。
そして、6月。
美佐子が亡くなってから1か月が経った。
相変わらず、啓人はあたし以外の人とは
話そうとしない。
それに、啓人は美佐子が死んでから
教室に全く顔を出していない。
ずっと保健室に通っている。
それに付き添っているあたしも教室には行ってない。
『啓人、そろそろ教室に行かない?』
あたしが何度聞いても、答えは同じ。
『絶対行かない。』の一点張り。
頑なに教室に行くのを嫌がる啓人。
理由は分かっているのだ……
教室に行けば、美佐子の机があるから──……