【完】あの子の隣にいるのはスキな人……
ー腕の温もりー
──ガチャ
屋上の扉が開いた。
え?
戻ってきたの?
ちょっと……
ギュッ
え?
あたしの背後から抱きしめてきた。
この腕、啓人じゃない……
「美咲君……」
「頑張りました。先輩!」
折角おさまりかけていた涙が復活した。
「美咲君……ありがとう…っ」
「才華先輩、よく頑張った。」
頭を撫ででくれる彼の手は少しひんやりしていた。
でも、啓人とはまた違う暖かさがあって。
今、美咲君がここに居なければあたし、
涙を全部流せなかったかもしれない。
「本当にありがとう……美咲君。」