駆け引きオフィスラブ〜幼なじみにはカナワナイ?〜
淋しかったの、会いたかったの。



声を聞くだけじゃ満たされなくて抱きしめて温もりを感じたかった。



「お前が、俺でいっぱいになるように。頭の中も心の中も身体も全部俺でいっぱいになっただろ?」



強く抱きしめられているのに言葉は皮肉に聞こえる。ふざけないでよ。どれだけあたしが不安だったと思ってる?


たった半日、連絡がなかっただけであたしはもうボロボロだったのに。



「あーっ感動の再会はいいが、とりあえずそれくらいにしてもらおうか」



「なんだよ。せっかく人が距離なんて飛び越えて会いにきた感動の再会だってのに。水を刺すな」



川上さんの言葉で我に返る。きゃーっ、そうだ。ここはChâtelise。



みんなが見てる。恥ずかしい。あたしは何をしてるんだ。湊の胸から抜け出そうとするのに力は弱まらない。
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