蜜事は研究室で
教室を出てから、かれこれ30分は経っただろうか。
誰かに道(?)を訊こうにも、なぜかこういうときに限って誰ともすれ違わない。
「はぁ……疲れた……」
壁づたいに歩いていたわたしは、ため息をつきながら何気なく立ち止まった。
ふと横を見てみるとクリーム色のドアがあり、そこも何かの教室のようで。だけども教室名が書かれたプレートがないことに、違和感を覚えた。
「(……まさか、ここじゃないよねぇ? なんか、狭そうだし……)」
ドアの真正面に立って、まじまじと見つめる。
一応確認しとこうかな、と取っ手に手をかけようとしたところで、思いがけずドアがスライドし……ビクリと肩を震わせた。
「ッ、」
「あ、びっくりした」
内側からドアを開けたらしいその人物は、たいして驚いてもいなさそうな声でそう言った。
驚きにからだを硬直させたまま、正面に見えたネクタイから、そろそろと視線を上げていく。
──お、男の人……世に言う、イケメンってやつだ。
銀縁メガネの奥の目を少しだけ見開き、だけどあまり感情の見えない表情で、その人はわたしを見下ろしていた。
な、中に人、いたのか……。
ていうか、なぜ白衣。この人も生徒だよね??
誰かに道(?)を訊こうにも、なぜかこういうときに限って誰ともすれ違わない。
「はぁ……疲れた……」
壁づたいに歩いていたわたしは、ため息をつきながら何気なく立ち止まった。
ふと横を見てみるとクリーム色のドアがあり、そこも何かの教室のようで。だけども教室名が書かれたプレートがないことに、違和感を覚えた。
「(……まさか、ここじゃないよねぇ? なんか、狭そうだし……)」
ドアの真正面に立って、まじまじと見つめる。
一応確認しとこうかな、と取っ手に手をかけようとしたところで、思いがけずドアがスライドし……ビクリと肩を震わせた。
「ッ、」
「あ、びっくりした」
内側からドアを開けたらしいその人物は、たいして驚いてもいなさそうな声でそう言った。
驚きにからだを硬直させたまま、正面に見えたネクタイから、そろそろと視線を上げていく。
──お、男の人……世に言う、イケメンってやつだ。
銀縁メガネの奥の目を少しだけ見開き、だけどあまり感情の見えない表情で、その人はわたしを見下ろしていた。
な、中に人、いたのか……。
ていうか、なぜ白衣。この人も生徒だよね??