裏表×2

入学式の王子様

遥紗side<


「間に合ったー!」

快と一緒に空いていた席に座る。

先生達がちょっとにらんでたけど、式自体はまだ始まっていなかった。

息を整えながら、周りを見渡していると‥‥

何か視線を感じた。キョロキョロして見るとどうやら周りの男子が快に視線を送っているご様子。

(やっぱ、快ってモテるんだなぁ。)

当たり前だけど。

にしても、やっぱ中学の時とは違って人が多いな。
体育館もめちゃくちゃ広い。

てか、客席みたいな2階があるよ?!すごっ。

一人で馬鹿みたいにキョロキョロしていると、ふと周りの女の子達がザワザワしだした。

(何ごと?!)

そう思ってステージの方を見ると‥‥

「うわー…」

思わず声が洩れてしまった。

だってステージの上には今まで見たことないってくらいのイケメンがいたから!

どうやら新入生代表の挨拶らしい。
かっこよくて頭もいいとか反則でしょ?!

「モテそう。」

まぁ、普通にモテるよね。
周りの女の子達を見た。みんな目がハート。
あのハート何個かあの男子に刺さってそう。


(私には関係ないだろうけど。)

こんな可愛い子がたくさんいるのに、あえてこのダサ子に振り向くとかないない。

そんなことを考えていると、隣に座る快が私の制服の裾を引っ張った。

快の方を見る。

すると、そこには稀に見る真剣な表情の快がいた。

「ハルセ、あいつには何があっても近づいちゃダメだよ。」
「へ?」

どういうこと?
快に聞き返そうとしたけど、快はそのままうつむいてしまった。

その雰囲気があまりにも普段と違いすぎて話しかけずらい。

あいつには近づくなってどういうこと?

私はもう一度ステージで挨拶をする男子の方を見た。

そこにいる男子はどうみてもかっこよくて、まるで王子様みたい。

(何で快はあんなこと言ったのかな?)

考えてみたけど全然わかんない。

そのまま新入生代表の挨拶は終わって、入学式自体も着々と進んでいった。

校長先生の話や来賓の人の話といっただるい話が続く。はっきり言って、すっごい暇。

でも、これから3年間この高校で過ごすと考えると急に嬉しくなってきた。

式が終わる頃には、快の言ってたことも忘れてこれから始まる高校生活の楽しみの方が大きくなっていて。

新入生代表の男子のことも当然脳内から消しちゃってた。

後から考えるとほんと後悔する。
あの時の快の言葉もっとちゃんと考えとくべきだったのに。


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